墓じまいを自分で行うには?おさえておきたいポイントを解説
墓じまいをするにあたっては、注意してほしいポイントがあります。間違った手順ですすめてしまうと、思いがけないトラブルに発展することがあるからです。行政手続きでは出向く場所も多いので、予定を立ててから行動するとスムーズに進めることができるでしょう。
墓じまいを始める前に注意すること
まずはお墓の使用権利者に許可を取り、承諾書に署名と捺印をもらいます。もちろん権利者が自分の場合は不要ですが、親や兄弟のときには注意してください。いずれ自分が権利者になる予定でも、現在の権利者に承諾を取らないといけません。承諾書が不要の場合でも、親族には相談し、理解を得ておきましょう。関係が近い方だけではなく、よくお参りに来ていた親族などがいないか確認します。急に手を合わせる場所がなくなってしまうとショックも大きいからです。また、本家のお墓は特に注意が必要です。分家筋から非難を浴び、取り返しのつかないトラブルになることも。
墓地の管理者やお寺にも相談し、理解を得ておきましょう。お寺の敷地内にお墓がある場合は、お寺の住職に墓じまいしたい旨を相談に行きます。遠方で満足にお墓参りできていないなど具体的な理由をあげ、十分な供養ができる方法を探していると伝えるとよいでしょう。
相談前に改葬先が決まっていることなどを話すと、勝手に決めたと反感を買うかもしれません。お寺からお墓がなくなるということは、離檀につながります。離檀はお寺の経営にも響くため、最初の段階で話がこじれてしまうと高額な離檀料を請求されるなどトラブルに発展しかねません。
お墓の引っ越し先である「改葬先」についても、あらかじめ探しておきます。新しくお墓を建てる、永代供養墓や散骨、手元供養など、供養の方法もたくさんあります。墓じまいはお墓を撤去して終わりではありません。今後の管理を考え、負担の少ない方法で決めることをおすすめします。墓じまいは思いのほか手間も時間もかかります。余裕のある計画を立て、仕事や家事などに支障が出ないようにしておきましょう。
墓じまいを自分で行う際の流れ
では墓じまいは、どういった手順で行うのでしょうか。簡単に流れを紹介します。必ずしもこの順番になるとは限りませんので、詳しいことは自治体やお墓の管理者に相談してみてください。トラブル回避のため、親族やお寺の了解を得ます。決定事項として報告するのではなく、「相談」という話し方が良いでしょう。それぞれの考え方がありますので、話し合いが難航してしまうことも考えられます。諦めずに冷静に話し合うことを心掛けましょう。
了解を得ることができたら、改葬先を探し確保します。改葬先が見つかってからでないと、お墓を撤去することはできません。その後は行政手続きに入ります。自治体の役所、現在のお墓がある霊園やお寺、改葬先の三か所とのやりとりになりますので、遠方の場合は時間がかかると予想されます。改葬先が見つかったら、お墓を撤去してもらう石材店を探します。霊園などによっては、指定の石材店がある場合もあります。指定がない場合は自分で手配するようになりますので、複数の石材店から見積もりを取っておくと良いでしょう。
その後は遺骨を取り出す作業です。自分でもできないことはありませんが、繊細な作業ですので石材店にお願いする方が賢明です。住職を呼び、閉眼供養を行います。閉眼供養とは、お墓に宿る仏様の魂を抜き、お墓をただの石に戻すことをいいます。お寺の僧侶を呼び、お経を読んでもらいます。
遺骨を取り出した墓石は、解体・撤去して更地に戻します。墓地は管理者に返還します。取り出した遺骨を持って改葬先に行き、納骨します。場合によっては開眼供養を行い、仏様の魂を宿してもらいます。
墓じまいに必要な行政手続き
■改葬許可申請書
現在のお墓がある自治体の役所で入手し、記入します。HPからダウンロードもできる自治体もありますので、確認してみましょう。
■受入証明書
新しい納骨先で発行してもらいます。お骨の受け入れ先を確保しているという証明書です。
■埋葬証明書
現在お墓がある寺院や霊園の管理者に発行してもらいます。同時に「改葬許可申請書」も記入・捺印してもらいます。
■改葬許可書
「改葬許可申請書」「埋葬証明書」「受入証明書」の3点を、現在のお墓がある自治体の役所に提出し「改葬許可証」を発行してもらいます。その後、新しい寺院や霊園などに提出して完了。1霊あたり1枚必要なので、何人のお骨が埋葬されているか事前に確認しておきましょう。
近年ではお墓の継承者がいない「無縁墓」が社会問題になっています。終活として墓じまいをする方も増え、お墓のかたちも多様な時代になりました。ご先祖様を思い、お墓に責任を感じているからこそ墓じまいを検討しているのだと思います。墓じまいを通して、自分たちに最適なお墓のかたちを見つけられるといいですね。墓じまいをする場合は、本記事を参考にしてください。